宝塚歌劇団による会見の内容が注目を集めています。
特に、文春で報道された「ヘアアイロン事件」について、会見で説明された調査報告書と、遺族の主張との間で、食い違いが見られるようです。
そこで宝塚のヘアアイロン事件について、報告書に基づいたまとめと、劇団と遺族の主張の食い違う点を整理しました。
宝塚のヘアアイロン事件まとめ!劇団と遺族の主張の食い違う点を整理
宝塚の「ヘアアイロン事件」について劇団側と遺族の主張が食い違っているようです。
劇団側が発表した「調査報告書」の内容を詳しく見ていきましょう。
令和3年8月14日:「ヘアアイロンの件」発生
調査報告書の内容
問題となったヘアアイロン事件について、調査報告書ではこうまとめられています。(報告書より転記)
故人は、令和3年8月14日、ロッカー室で宙組劇団員Aから髪型の指導を受けていたところ、Aが故人の前髪をヘアアイロンで巻こうとした際、故人の額にヘアアイロンが当たり、故人は額に火傷を負った。
同日、故人は劇団診療所に行き、ヘアアイロンで火傷をしたとして塗薬を塗ってもらった。劇団診療所の看護師によると、当時故人の火傷を見たが痕には残らない程度の火傷と思われた、ヘアアイロンで火傷をすることは劇団内では日常的にあることであり、記録に残していないとのことであった。
翌日に撮影された写真からは、故人の額に小指の第一関節から先程度の長さの傷ができていることが確認できる。故人は傷跡が残るか心配していたが、幸いにも痕は残らなかった。
ヘアアイロンの件を目撃した他の劇団員はいなかった。
故人がその翌日、母親に対して送信したLINEの記載内容からは、故人は、Aが故意にヘアアイロンを当てたと確信していたわけではなかったが、故意に当てたのではないかと疑っていたことが認められる。
しかし、この時、故人から宙組プロデューサー等の劇団側に対し、ヘアアイロンの件に関する申し出がされることはなかった。
つまり、ヘアアイロンによる傷ができたのは事実だが、それを①劇団診療所は記録に残していなかった(日常的にあるため)、②目撃した他の劇団員はいなかった、③故人からの申し出はなかった。
一方、翌日に母親に当てたLINEでは「故意に当てたのではないかと疑っていたことが認められる」とのこと。
遺族の主張
一方、遺族の発表によると、母親へのLINEの内容は、
〈⚪︎⚪︎さんにまかれて〉
〈やけどさされた〉
〈でこ〉
〈さいあく〉
というものだったそうです。
また、おでこの火傷の画像もあるとのこと。
「やけどさされた(=させられた)」という表現を使っていることから、本人は「故意なのではないかと考えていた」とも読み取れます。
しかし傷の画像や、母親とのLINEの詳しい内容について調査報告書では詳しく触れられていませんでした。
令和5年1月30日:文春からの質問状を受けてヒアリング実施
1年半ほど経過した令和5年1月30日、週刊文春から劇団に対してヘアアイロンの件で質問があったため、宙組プロデューサーから、故人、Aさん別々にヒアリングを実施したとのこと。
ヒアリング結果は以下の通り。
<宙組プロデューサーのヒアリング報告メモ>
両人とも、Aが故人に髪型セットのアドバイスをしていた際、額にアイロンが当たってしまい、すぐ離したものの少し火傷をしたことはあったが故意ではない旨を答えた
他の宙組劇団員へのヒアリングにおいて、劇団員がヘアアイロンによって怪我をすることはよくあることである旨の回答があった
<劇団診療所からの報告>
故人が受傷当時に受診した記録は残っておらず、また、ヘアアイロンによる火傷はよくあることで、逐一記録は行わない
以上の調査結果に基づき、劇団は「Aがヘアアイロンによって故人に火傷を負わせてしまったことは事実」であると認識。
一方、「Aがヘアアイロンを故人に押し付けた」という事実がなかったことから、週刊文春には「事実無根」と回答した、とのことです。
つまり、劇団は故人・Aそれぞれのヒアリングで「故意ではない」と言っていたこと、そして「火傷はよくあること」という診療所・劇団員の証言から、「押し当てた事実はない」=「事実無根」としたとのことです
ヘアアイロンによる火傷は「よくあること」というのが何回も出てくるのが気になりますね…
令和5年2月1日:文春に記事が掲載され、追加ヒアリング実施
調査報告書の内容
ヘアアイロン事件に関する記事が2月1日の週刊文春で報道され、これを受けて故人の妹が所属する雪組のプロデューサーから、妹に対してヒアリングを実施。
<雪組プロデューサーの報告>
妹である雪組劇団員は、「ヘアアイロンの件の当時、故人がAから教えてもらっていて火傷をしたことを聞いていたがそれ以上のことは聞いていない」と回答した。
また、宙組プロデューサーからAと故人に対して電話。
<宙組プロデューサーの報告メモ>
故人、Aいずれも供述内容に変化はなし。電話の際、故人が母親と一緒にいたため、母親からも事情を聞き取った。
母親は、「火傷をしたのは事実であるが記事のように故意にヘアアイロンを押し当てられたとか、親族が激怒したとか、ありもしないことを書かれるのは非常に心外であるし、娘もかわいそうに思う、またAも事実と全く異なることを書かれてショックだと思うし、心配である」と述べた
遺族の主張
一方、遺族は、この時の電話について異なる内容を主張。
<遺族の主張>
故人はAが故意にヘアアイロンを当てたと宙組プロデューサーに伝え、ご遺族自身も「故意だったと思うか」とプロデューサーに聞かれて「本人(A)に聞いてください」と答えた
つまり、この電話での会話は、報告書における「宙組プロデューサーのヒアリング結果」と、「遺族の主張」が大きく食い違っています。
しかし「電話の録音などはなく、どちらが事実であるかを判断することは困難」とのこと。
なお劇団内部のPCに改ざんされた記録はなく、劇団が隠蔽した形跡はなかったとのことです。
ここまで内容が食い違っていると、どちらかが正しくない内容を言っていることになってしまいますね…
宝塚ヘアアイロン事件に関する遺族の反論に劇団も反論
劇団が会見で語った調査報告書の内容について、遺族側代理人の川人弁護士は、
この報告書の内容は失当(間違い)である。
極めて軽傷であるかのように看護師の供述が引用されているだけで、極めて一方に偏した事実の摘示を行ってやけどの程度を報告書は述べています
と即座に反論しました。
しかしその内容を劇団側に伝えると、宝塚歌劇団の村上専務理事は、
ヘアアイロンの件については、そのようにおっしゃっているのであれば、その証拠となるものをお見せいただくようお願いしたい
と真っ向から対立するような姿勢を見せています。
たしかに劇団の中ではおでこに当たるのは「よくあること」なのかもしれませんし、それ自体は劇団が嘘をついている訳ではないのかもしれません。
一方で、故人が「やけどさせられた」という気持ちを持っていたとすれば、それはやはり「よくあること」で済ませられる問題ではないのではないか…と個人的には思います。
現在、再度劇団内でのヒアリングが行われているようですので、どうか包み隠すことなく、誠実に対応してほしいとファンは願っています。
まとめ:宝塚のヘアアイロン事件では調査報告書と遺族主張の食い違いあり
以上、宝塚のヘアアイロン事件について、劇団の調査報告書の内容と遺族主張の食い違う点を整理しました。
- ヘアアイロン事件当日・翌日について
報告書:確かにおでこに当たって火傷ができたが、劇団内ではおでこの火傷は「よくあること」のため診療所の記録はなく、本人の申し出もなかった
遺族主張:事件翌日の母親へのLINEでは「やけどさせられた」という内容があった
- 1年半後の文春報道を受けたヒアリングについて
報告書:故人は故意ではないと宙組プロデューサーに伝え、母親は「記事のように故意にヘアアイロンを押し当てられたというのは事実と異なる」と答えたとのヒアリングメモあり
遺族主張:故人はAが故意にヘアアイロンを当てたと宙組プロデューサーに伝え、ご遺族自身も「故意だったと思うか」とプロデューサーに聞かれて「本人(A)に聞いてください」と答えた
このようなまとめとなります。
劇団員たちが心身ともに元気で笑顔で舞台に立っていただけるよう、これからの対応を見守りたいです。